変幻自在に語られる天風先生の、激烈な体験に裏づけされる物語りは、ただに読者の魂を奪い去るばかりではない。これこそは、病める現代に対する「福音の書」である。
波瀾万丈の生涯を送った中村天風の独特な生き方を描く読みつがれる名著。
人間として大切なもの──誰しも倖せを求めながら、それが得られないのが人間の現実の姿。これはいったいどういうことであろうか。天風先生は波瀾万丈のその体験を通じて、生きるか死ぬかというギリギリのところで、そり答えを身をもって悟られた。
──推薦 松下幸之助
天風先生中村三郎とは何者か? 旧華族に生れながら、蒙古草原をさまよい、軍事探偵となる。「人斬り天風」と呼ばれた。 断頭台をのがれ
て米国に渡り、コロンビア大学医学博士となる。死病・奔馬性肺結核をみずから癒さんがためである。ベルリン大学哲学博士を受ける。
吐血しつつインドの祕境に潜入、ヨガの大酋長の秘儀に参ずる。居ること数年、ついに悟入転生の機をつかみ、新天地を見た。日本人にして
唯一のヨガ直伝者。中国革命に参加、孫文政権の最高顧問となるが革命挫折、帰国。
作家宇野千代は「一生にただ一度めぐりあった人」の感動を一人でも多くの人に分けたいと願った。これはその傾倒の書である。